水晶玉を見つめる占い師のように / キリエのお話の書き方



※これは「上手な小説の書き方」を書いているものではなく、わたくし、キリエがどうやって小説を書いているのか、その奇妙な生態をそっと説明する内容となっております。
わかりづらいですが、よろしくお願いします。






書き手の人たちは、どうやって自分のお話を書いていますか?
行き当たりばったり?
プロット書く?
下調べばっちり?



私の場合は、説明が難しいです。
「感覚」と「ノリ」で書いている感じもありますし、なにかに憑依されているように書いている感じもあります。
そんな奇妙な感じを少し、ご披露してみようと思います。
わかりづらかったら、ごめんなさいね。





まず、きっかけがいりますね。

大体は「こんなお話が読みたい!」というところから始まります。
あるいはTwitterなどで仲良くさせていただいている人たちとのやり取りでひらめいたり。

私の話で言うと、「騎士が花嫁」は「嫁入りBL読みたいなぁ。それもちょっとヘンなやつ!ごっつい騎士様が花嫁だったらどうしよう?わー、読みたい!」だったり。
ぷりちーヒップのバニーボーイ「バニ男」にかけたい言葉があるの!だったり。

ちょっとだけキャラクターを考えます。

騎士様はどんな人なんだろう?
ギャップがあるほうがいいな。
到底「花嫁」なんて似合わない、大柄でむさくておぢさん。
じゃあ、なんで「花嫁」なんてやってるんだろう?
ああ、そうか。
きっと捕虜になって、嫌がらせでこうなったんだ。
そういうの、好き。
無理矢理モノ、ですね。

じゃあ、相手はどんな人?
これで相手もむきむきした人だと、どうもなぁ。
「まさか、こんな人が?!」っていうのがいいなぁ。
じゃあ、平々凡々とした人がいいかな。
「嫁を取る」くらいだから、ちょっとは大人かな。
あの世界で大人ってどれくらいからなんだろう?
(突然、世界の設定が始まっていますが、妄想している本人はなんの違和感もなく妄想し続けています)

わかった!
じゃあ、22~24くらいにしとこう。
ひょろっとして、下っ端感のある人。
なにかよくわからないけど、ひょんなことで騎士様を嫁にすることになっちゃうんだわ。
育ちがよくないから下っ端なのかな。
ああ、教育ってどうなっているんだろう?

捕虜?
騎士様、捕虜になった、って言いましたよね(ええ、妄想内ではそういうこともありましたわね)。
そうか、戦争が絶えないから、親を失う子どももたくさんいるんだ。
きっとこのお相手の人、そういうことであまり恵まれた環境ではなかったのかも。
そうかぁ、じゃあ、言葉遣いもあまりよくないよね。

と、妄想は流れていきます。



それを今度は文章にしていきます。

捕虜ってことは、戦争があったんだ。
どんな国?
それはもうおとぎ話みたいな感じで北と南でいいじゃん。
(ここで適当に国を作る)

がっちりおぢさま騎士様を花嫁にする、って随分趣味が悪いよね(おいおい、自分が妄想したじゃん)。
きっと趣味が悪い王様がいるんだよ!


こうやって妄想したり、書いたりを繰り返します。

なので、「騎士が花嫁」は最初、三話しかなく、話の全体像も、騎士様もお相手の人のキャラ設定も曖昧なままでした。

書いていて違和感を感じるときには妄想を変更します。

24歳?
お相手は24なんですか?
いやいや、それにしては世間知らずのような。
この世界で24歳なら、もうちょっと世の中を知っていてもよさそうです。
わかった!
もっと歳が下なんだ!
幾つだろう…??

成人の儀式が何歳かわからないけど、きっと、「生き抜くため」に半端な「オトナの常識」は知っているものの、経験が伴っていなかったり、粋がっているんじゃないかな?
よし、17歳にしましょう。
ええ、筆おろしは15歳に済ませておきましょうね。
周りのオトナの男の人がそれなりのおねいさんを世話してあげましょう!
もちろん、こういうことは珍しくなく、一般的にしておきましょうね!


妄想と文章を書く、は何度も繰り返されます。
私の場合、大体、通勤の行き帰りの自転車の上で妄想しています。

ときどき「未来を占う占い師の水晶玉をのぞき見る」ような感じのこともあります。
ふと、ある一場面が浮かぶんですね、自分の中で。


「騎士が花嫁」の場合、回廊の片隅で主人公のリノ(17歳)が、花嫁の騎士・ジュリアス(35歳)に抱きついて、悔し涙をこぼしながら叫んでいます。

「あなたが全部ほしい!」


それまで、実は、旦那様ではあるもののお子様のリノは、「ジュリアス様を食べるか食べられるのか」、私にもちっともわかっていませんでした。
それで読者の方を惑わすようなことになってしまいました。
事前に告知すべき、という意見もありましたが、私にもわからないのです。
どうしようもありませんでした。

書き上げてから投稿を開始する、という方法もあります。
でもね、見てほしいじゃーん!
なんという我儘なかまってちゃんなんでしょう!
でも、そうなんだもーん!


話を元に戻しまして。
リノは何度か「これはジュリアス様に食べられても仕方ないな」という場面がありました。

私も「ああ、このままリノは食べられてしまうのかしら?」とどきどきして見守っていました。

そうなんです。
書いているのは私なのですが、私は「一番最初の読者」の立ち位置です。
「ええええっ?!そのあとどうなったの?知りたいっ!!!」を原動力に妄想しています。

そしてたまに「水晶玉」で先をちらりと見てしまうのです。



誰がどう食べるのか、についてはリノとジュリアス様を私の頭の中に召喚して、何度か会議をしました。

キリエ
「でさー、リノ、ほんとのところ、どうなの?
ジュリアス様を食べたいの?」

リノ
「むりむりむりむり!」

キリエ
「じゃあ、食べられたいの?」

リノ
「もっとムリムリムリムリムリムリムリ!!!!!」

キリエ
「えー、それじゃあ、話が進まなくて困るんだけど。
ジュリアス様はどう?
リノを食べちゃいたい?」

ジュリアス
「俺は最初からどちらでもいい、と言っている。
両方できるからな」

キリエ
「(きゃー!ジュリアス様、おっとこまえ~!!カッコいいーーーー!どちらでも受け入れる度量の広さ!)」



なんてやっていたのでした。

しかし、先が見えました。
どうやってもリノがジュリアス様を食べる!と言っています。

一体、なにがあったのでしょう?


そこでまたもや妄想と文章書きを繰り返します。

妄想も淀みなくお話が流れれば、それを採用します。
たまに妄想が暴走することがあります。

やりすぎ!な感じですね。

それは「本編には登場しなかった場面」として残しておくこともあります。

書きませんでしたが、妄想内ではジュリアス様はリノに対してもっと際どいこと何度もしています。
朝の元気なお手伝いから始まり、疲れたリノをねぎらうためのマッサージとか、機会があれば手だけではなく、口でもしてるかなぁ、ということもありました。
軽くせくはらですね、けしからん!
でも、「だって17歳だもん!止まらないもん!」とまるで、自分が17歳男子の経験があるかのように開き直ることもありました。

結局、これらのシーンを書かなかったのは「本筋のお話の先が知りたい!」という、私自身の「完結ハンターの性《さが》」のせいでした。



さて、リノが「食べます!俺、ジュリさんを美味しく食べますっ!」と挙手してきましたので、それをどうにかするために、これまで進んできたお話と、この「ジュリさんを食べる決意をしたリノ」をつなぐお話が必要です。
どういう流れで、こうなったのか。
あれこれ妄想します。

暴走したら、やり直し。
無理矢理すぎても、やり直し。
妄想後、書いていて違和感があったら、やり直し。

そうやって、淀みなく自分が納得できるお話の流れが見つかるまで続きます。

こういうときに、SNSでちょっと愚痴るんですよね。

「もう、ばかぁ!さっさとなんとかしてよー!」とか。





お話によりますが、この水晶玉の未来が次々に見えることがあって、その場合は、その未来と未来の間をお話でつなぐことに必死です。
それをなぜか書き留めておかないんですね。
そうしてしまうと、どこか枯れてしまう感覚があって、いつまでも自分の中に留めています。

忘れたらいけないので、焦りますね。



あるいは、キャラクターが暴れだしたら大変なことに!
お話を書いているときには、巫女様のようになにかを「降ろして」書いているようです。
霊能者ではありませんが、「騎士が花嫁」だったら主人公のリノとシンクロして書いています。
だから、リノが痛いときには自分も痛いし、苦しいときには私もすっごく苦しいです。

その延長か、「俺はこういうふうに動きたいのっ!!!」と話をとにかく先に進めたい。
あるいは頭の中のお話をさっさとぶちまけたいっ!
とリノが暴れだすと、私は睡眠時間を削ろうが、日常生活に支障が出ようがお構いなしに書くのです。

「リノ、激し…っ!もういいだろっ」

と遊びながらやらないと、自分の身が持たない感じです。
それくらいの気迫で書いているのに、文章に反映されるのはちょっぴりですね。

この勢いと、「うまい文章を書く」とはあまり関係していないようです。
しょんぼり。



うまい文章ってなんでしょうね?
お話をうまく書く方法ってどうなんでしょう?

お話以外にもブログを書いていたので、この壁はいつまでも私につきまといます。

ちょっと思ったことを言うと、うまい人の文章をたくさん読んだり、自分でもたくさん書いたりもあると思いますが、「どれだけ経験をしてきたか。どれだけ五感、あるいは六感も含めて鋭利にしてきたか」が影響してきているかなぁ、と感じます。

いくらうまい文章を書いても、「机上のなんとか」では文章に面白みや艶は出ません。
フィクションでも、妄想でも、そこにちょっぴりリアルが混じると、ぐっと身近に感じられます。
そして、なにをよしと感じ取るのか。
どうして、自分はよしとするのか。
なにが楽しくて、なにに腹を立て、なにが悲しく、何が嬉しいのか。

そういうことをどれくらいしているのか、が厚みがでるかどうかにつながるんじゃないか。
と仮定を立てています。
まだ、なにも証明できていませんけどね。


けれど、言葉がほとんどわからない異国を不安を抱えながら一人で歩いたこと、子猫のようにかわいがられたこと、遠距離で会えずに怒りと寂しさでどうやって自分を抑えていいのかわからなかったこと。
それらが、「妖精王の指輪」、「僕のレークス」、「ブラック・バニーズ」を作り出すための糧になっていることを、お話を書きながらひしひしと痛感しました。




そうこうしていると、やがて「あ、この話の結末はこうなんだ」と水晶玉で見えてきます。
そうしてまた、今書いているお話と結末までの間を埋めるお話を妄想し、流れを確認し、書いたり妄想したりを繰り返し、書き上げるのでした。



なので、プロットもなく、結末もなく、キャラがどんな人なのか最初は私もわからない、手探りであり、かつ自分も「初めて読むお話」のように書いていくのです。


これが、私のお話を書くときのすべてです。

しかし、これは完璧に「キリエ・スタイル」なので、こうやったからといってお話が書けるようになるわけではありませんよ。





さて。
これまで、このことをずっと書きたいと思っていましたが、うまくまとめる自信がなくて書かずにいました。
今も、わかりやすく書けたかどうか、わかりません。
「個人の感覚」でしかないので、限界はあると思います。

それがなぜ、今、意を決してこのことを書いたかというと。

「ブラック・バニーズ」という作品にお騒がせな人がいるんです。
もう最初から、ファーストインプレッションを崩しにかかった不敵なヤツがっ!
私が彼にどれだけ振り回されたか、わかりません。

「はぁっ?!あんた、そんなヒドいことすんのーーーーっ?!
許さんっ!
許しません!」

と私が激怒していても、本人は涼しい顔をしています。

一部ではすごく人気があります。

おまけにその人は「キリエの中の人説」まであります。



「ブラック・バニーズ」を書いているときも、少し見えていました。
私はそれに気づき、その時点でとても落ち込んで、泣いてしまいました。
ええ、「こいつ、なに言ってんの?」となるのもわかります。
自分でも「ヘンなのー!」と思っていますが、そうなっちゃったんだから仕方ないんです。

本編が完結し、ちびちびと番外編を書いていたのですが、この数日、くっきりと「その人の最期」が水晶玉に映されました。
私は「書きたくない」と思いました。
しかし、水晶玉に浮かぶ場面は日に日にリアルさを増し、そして自分の意に反して、気づけば自転車の上で妄想が始まっています。

そう、ある意味、「あたしの乗っ取り」ですね。

観念して書こうか、とも思いましたが、つらくて自分で自分を慰めるのも限界があるし、このままでは日常生活に支障もきたしかねません。



多分、根負けして近いうちに書くのだと思います。
それを書くための経験も、私はきっちり経ていました。



他にも、ティグと靖友くんのお話、ユウヤとジンのお話なども妄想してるのにね。



まぁ、こうやって私はお話を書いているのです。




おしまい




■参考

キリエのお話 ムーンライトノベルズXマイページ(R18BL。閲覧注意)










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