銀のエトコリア

2020-12-31

ドラマ「岸辺露伴は動かない」

event_note12月 31, 2020 editBy Kyrie forumNo comments

 


※ネタバレあり。閲覧注意。

年末にNHKドラマで「岸辺露伴は動かない」をやる、と知ったとき、うわぁ、と盛り上がると同時に「え…」と思った。
ドラマということは実写ということで。
漫画やゲーム原作の実写化の多くは「え…がっかり」となることが多いからである。
どこか不自然で「なんで実写化したの?!」と言いたくなることもありまして。

ただ私の中で希望の光は脚本が小林靖子さんだったこと。
彼女はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のシリーズ構成を担当されている。
荒木ワールドを崩すことはしない、絶対!
と勝手に思った。
(あとは劇場版「刀剣乱舞」の脚本も担当されたときの噂(?)をTwitterでがーっと読んでいた。特撮ものでも小林さんは活躍されていてファンの心を揺さぶったり抉ったりしていらっしゃる、らしい、というイメージを持っていた)



2020年に「ジョジョの奇妙な冒険」をめちゃめちゃ意識して、血がたぎりすぎて日常生活に支障が出るほどだった。
しかし、実は荒木作品をどの媒体のものでも未履修、というふざけたことになっているのが私だ。

なので、ドラマの岸辺露伴が私の「初・荒木作品」となる。

原作を知らない私だが、小林さんへのインタビューを読むと「このドラマで初めて荒木ワールドにふれる人も楽しめるように作った」とあったので、安心してどーんと飛び込んでみた。

ドラマ放送までに2分間のみどころ動画が出たときは、ナレーションを櫻井孝宏さんがされた。
櫻井さんはアニメ版でまさに岸辺露伴を演じた声優さんだ。

そのあと、作品紹介やキャストへのインタビュー、制作の裏側などの15分番組があり、そのときのナレーションは鈴木れい子さんだった。
鈴木さんは露伴さんが出る4部の前、3部に登場するエンヤ婆を演じていらっしゃる。

いろいろ仕込んでいるなぁ、とこの時点で思っていた。



さてドラマは3夜連続放送。


第一話「富豪村」

登場人物がどんな人なのか、どんな世界観なのかを視聴者にくっきりとすっきりと理解させるためのものだった。

ご自身もジョジョファンの高橋一生さんが岸辺露伴役なんだけど、「あ、キレイな露伴ちゃん」と思ってしまった。
原作は知らないくせに、露伴ちゃんと言えば「創作のために蜘蛛を食べちゃう」くらいの人で、そのシーンをネットでよく目にしていたからだ。
それにあの頭のぎざぎざ。穴あきのお服。
それをそのまんま再現していたら、「あたい、吹き出すかもしれなーい!」と正直思っていた。
それがスタイリッシュに、めっちゃシンプルで、しかし「風変わりな人」だとすぐにわかるようないでたちだった。

文句を言いながらも、さりげなく編集の泉京香さんを守ったり手助けする様子に「え、本当に露伴ちゃん?!私が聞いてた噂と違う!」と思ってしまったこともごめんなさいなのだ。

最後の漫画の差し入れも「くぅぅぅぅっ!泣かせるぜ、露伴ちゃんっ!!」と思った。

そしてヘブンズ・ドアー。
そう表現したのかぁ。
ヘブンズ・ドアーとはスタンドと呼ばれるもので、スタンド使いにはその姿が見える。
お帽子をかぶったちっちゃな紳士のような姿、だと記憶している。
が、ドラマでは登場しない。
ヘブンズ・ドアーを描かない、と決めたのはどういう中からだったのか。
制作裏話がめっちゃ聞きたい。


見終わった感想は、「江戸川乱歩の読後感に似てるなぁ」。
仄暗くておどろおどろしくて怪しくて妖しいのに、どこか品がある。




第二話「くしゃがら」

一番気になっていたお話。
一番好きなお話。

これを語るには志士十五の森山未來さんの、まさに「怪演」がどすどすと腹に響く。

禁止用語の「くしゃがら」。
オチは「ぴゃあああ。そうなの?!」というものだった。

私、あの黒いねちょねちょしたものを見て「袋とじ」とは思えなかった。
あれが袋とじ?!
まじで?
あれ、開けてたらどうなってたんだろう。


この第二話はねぇ、創作をしている人に見ていただきたいなぁ、と思った。おこがましいけど。
岸辺露伴は創作しそれを表現する人。
リアリティーにこだわり、そして紙や本、言葉を愛する人。
そして意外だったのが、好奇心の塊のくせにくしゃがらに憑りつかれない冷静な判断力と自己を律する力を持つ人。

私だったらくしゃがらに溺れると思うもん。
まぁ、挫折して解放されそうだけどな。
根気を伴う作業は苦手なのだ。



十五の柄がいっぱいの、相手のペースなどを全く考えない服装と言動。
どうこう言いながら人の話は結構しっかり聞くし、やっぱり泉ちゃんを守るし、十五を自分の部屋まで送り届け身銭を切ってピザを届けさせるところに「露伴ちゃん、基本は優しい人じゃあああん。私の聞いている露伴ちゃんと違うなぁ」と思い、二人の漫画家の対比を面白く感じていた。

そして、最後の張り紙がめっちゃいい。




第三話「D.N.A.」

私はこの話にツッコみたい!
最後のオチ(?)となる3冊の本で見せるためにはそうしなければならないのかもしれない。
しかし、しかしだよ!
ヘブンズ・ドアーのアイデンティティはどこにぃぃぃぃぃぃっ!!

人の顔を本に仕立てページをめくっていくところが、おどろおどろしく、それを読む露伴のちょっと狂気の混じった歓喜の表情に「センセェ…」とドン引きするシーンだし、ぞくぞくする「これぞ露伴先生っ!」という部分だと勝手に思っているんだけど。

人をまるっと1冊の本にしちゃう!
え?!
お顔を本にするんじゃないの?!
ええええええっ?!
ずっと思っていた。


映像もこれまでの仄暗さ満載ではなく、明るく淡いピンクやブルー、紫などがたっぷりあって、前の2話とは雰囲気が全然違う。
まぁ、おどろおどろしさは変わらないんだけどさ。


ラストの泉ちゃんが凛々しくて素敵だなぁ、と思った。
しばらく露伴ちゃんを振り回し振り回されわちゃわちゃして、新しい恋ができたらいいなぁ。

ところで露伴ちゃんは恋愛したことあるのかな。
恋愛ものは描かないかもしれないけど、恋人同士や夫婦などは登場人物として出てくるでしょう?
どうなの?どうなの?



全体的には3話を通して櫻井孝宏さんが声で出演されていたの、ぐっとくる!

露伴ちゃんのバッグと手帳とスケッチブック(?)をよく見せなさい!

あらゆるところに散りばめられている、ジョジョ好きを拗らせている人がにやりとしそうな小物や仕掛けの答えを公開してほしい。
Twitterで流れてきているものだけでも、ピザ屋の名前、缶コーヒーのメーカー名、漫画原稿内の花京院っぽい人。
全然映らなかったのに、雲型定規には「オラオラ」の型があったしさ(プロダクションノートで見た!)。

露伴ちゃんの漫画を描く前の体操(?)は「指がっ!指がそんなに曲がりませんっ、センセェっ!!」と一緒になってやりながら叫んでいた。




続編を希望する声もTwitterでたくさん見た。
そうだね、私も見たい。
でも連続ドラマより、今回みたいに特別に三話とかがいいなぁ。
あれだけのクオリティ、1クール保たせるの大変だもん。
3話だからこそ、叩き込めることもあるじゃん。


年明けに遅い時間だけど再放送がもうあるんだって!
ひゅっふー!













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