突然ですが、勝手に今年2018年に私が読んだネット上のBL小説の中でうなりにうなった作品を紹介します。
なぜ、「TOP2」という半端なことになったのかというと、この2作品がダントツだったからです。
それいけ!キリエの2018年BL小説TOP2
第1位 星の鎖 ラリマール著
※ムーンライトノベルズ。リンク先はR18 BL小説。閲覧注意。普段、私は100話を越える小説をあまり読もうとしません。
完結ハンターで、お話の結末を知りたいと強く求める性分なのであまりに長いといらいらするのです。
(だから京極夏彦さんの小説は苦行だった!でも面白い)
この「星の鎖」も100話を越えるお話で、設定がSF。
いつもなら読もうとしないのですが、子ども向けのSFを読んだ経験から「BLでSF?珍しいな。どんな展開なのかしら」と覗いてしまったのが運の尽きでした。
SFと言っても、なんていうんでしょう、ファンタジーや異世界ものが好きな方にはすんなりと入り込んでしまえる世界です。
宇宙船飛んでて、私の血は滾ったけどな!
お話についてはリンク先のあらすじを読んでもらうことにしまして。
なにが魅力って、まずはしっかりした世界観!
私は設定もキャラもプロットも、下ごしらえしない一発勝負屋なのですが、このゆらぎのない、そしてご都合主義ではないリアリティあふれる世界。
素晴らしい!
このどっしりした世界に生きる、魅力的なキャラクター。
相変わらず、ヴィジュアルつきで想像できないのですが、なんとなくまんがやアニメで見ているように読んでいました。
「これまで生きてきた経験」を踏まえてそのキャラクターはそこにいるのですが、その「過去」がしっかりと背景にあるので、お話に更に厚みと奥行が出ます。
張り巡らされた伏線とその回収。
さらりと書かれているときもあり、なにかひっかかるように書かれていることもあり。
それが読み進めるうちに「うわあああああっ!あそこのあれ、ここにつながってくるのかっ!」「気になってた表現だけど、こういうことじゃったのっ?!」と叫び回ることになること何回も!(心の中で叫んだけどなっ!実際は夜中だったからできなかったけど、やってもよかったら叫び回っている)
なんというか、作者さんの挑戦や駆け引きにこちらがどう挑むか、みたいな。
ハラハラしたオトナのやり取りをしているような。
こっちが無防備に読んでいたら不意を突かれるような。
気になって警戒していたら「その通り」と言いながら、その上をいく展開だったり。
すんごく気持ちよく振り回されました。
内容は、薄氷の上の微妙なバランスで成り立っているとても儚く、そしてギラギラと痛い関係が描かれています。
出口のなさそうな状況やどこにも訴えることができなくもどかしい感じ。
とても切なく、何度「ああ、神様!いらっしゃるならこの状況をどうにかしてください!」と祈り、「この先、希望はあるのか?」と神様や作者さんに詰め寄りそうになったり。
睡眠時間も他のこともなにもかも、できることはなんでも削り、そんな思い詰めながら読み進めた作品でした。
呑み込まれ、巻き込まれして、やっとたどり着いた最終話は泣きました。
ここまで書いても、魅力の1/1000も伝えられないのです。
読まなくっちゃ、だめなの。
強く強く感想やレビューを書いてみたい!と思いました。
ちょっと練習もしたんです。
でもそれもうまくいかなくて。
なので、自分のフィールドである「自分のブログ」でご紹介することにしました。
ああ、ヘタレな私。
この作品に出会ったのは夏の最初かなぁ。
夏はいつも「お仕事激闘編」なので、突入前にすべてをつぎ込むことになり、寝不足・暑さ・疲労…と自分の状態がサイアクに向かうのをわかっていても止まりませんでした。
やっと!
やっと文字数を気にすることなく、書くことができました!
それで驚きなのが、「ラリマールさんの初BL」というところです。
この方はこれまで何を読み、何を書き、そしてこの作品が生まれることになったのか、その背景が知りたい!
と、私の好奇心は止まりません。
知る術はないのですけど。
第2位 プレイメイト(SM連作短編) 馬並子著
※fujossy。リンク先はR18 BL小説。閲覧注意。
自分がしたいされたいとは思いませんが、なんだかちょっとだけSMに関心があるんですよ。
なんだろう、SMプレイの向こう側にある2人の関係、みたいなものに。
何度挑戦してもうまく表現できないのですが、なんて言うんでしょうね。
Sって、決して自分の好き放題をしているわけじゃない。
Mがいないと自分が成り立たない、実はとても弱い立場。
そしてとても繊細な感覚の持ち主じゃないと、Mを満足させることはできない。
Mは、Sにすべてを差し出す。
プレイを一歩間違えれば、大怪我、大事故、そして命を落とすこともある。
そのぎりぎりのところまで自分と自我を明け渡し、渡し切ることができる信頼関係。
自分を奪われながらも、自分がここにいる、と痛感する。
プレイをしたことはないのですが、なんとなくこんなふうに感じて、どこか感覚的に理解しているところがあって。
それが合っているのか間違っているのか、答え合わせをする術もないのだけど。
ただ縛り上げ、痛みを与え、屈辱的な言動をするだけじゃない、と思っています。
なんとなく、世の中のSMって「我儘に酷いことすればいい」みたいな感じがして、「そうじゃなさそうなのになぁ」と思ってる。
さて、作品ですが、この私のもどかしい「ぐわああああっ!」「ぐぬぬぬぬぬっ!」という「SMとは」の答えの糸口を与えてくれそうなお話です。
お互い社会人なので、自己責任だし、脅されているわけでもありません。
対等です。
そうそう、SMってある意味対等だと思っています。
服従だの調教だのはありますが、立場は対等じゃないか、と。
痛いのや酷いのは、元来苦手です。
作中でもそういうプレイは出てくるのですが、なぜか読んじゃうんですよね。
読まされちゃう、というか。
表現が細かく濃厚。
「もういいです。チェーサーで薄めさせてください!」とお願いしても「まだまだ飲めるだろ、濃いの」とどんどん飲まされる感じ。
そしてそれが飲めちゃう感じ。
(薄々感じていますが、私はおそらくM傾向だと思ってる)
(薄々感じていますが、私はおそらくM傾向だと思ってる)
なにをどうしているのか、どこがどうなっているのか、くっきりはっきり明確にわかるので、そういうのが好みの方にはぴったり。
私は完結ハンターだし、痛いの怖いの苦手だし、本来なら手を出していない作品なんだけどなぁ。
どうしてか、とにかく気になって、ひかれてうっかり読んでしまいました。
あとはねぇ、作者さん自身の引き出しの多さとギャップ。
ご自身のアトリエブログに、ご自分の作品はポルノだと思っている、と書かれているのに「文芸畑」出身、って!
なにこのすごい感じ!
私なんて「ついうっかり」のお調子者で「雰囲気えろす」という名の曖昧で道端の隅っこのぺんぺん草担当だよ!
これも睡眠時間削って読んだなぁ。
「もうちょっともうちょっと」と読んでいたら、すんごい時間になっていたこと何度も。
それに濃厚描写に、読んでも読んでもまだお話の区切りがつかないんだもん。
「連作短編」なので、未完。
もしかしたら完結することはないのかもしれないけれど、追いかけられるだけ追いかけていきます。
以上、2作品のご紹介でした。
2019年も素敵な作品に会えますように。
今、ムーンさんの検索方法が変わって、スコップしやすくなりました。
過去のものも随分見つけやすくなり、そのあたりをほじほじするのが楽しい。
10年前だとまだスマホがなくてそのあたり時代を感じてしまいますが、それでも色褪せない力強い魅力を放つ作品に出会うと興奮しちゃうよ!
おまけ
ペースは随分落ちましたが、私も今年1年もあれこれ書いてきました。
一時期、「書けなくなってもいいや」と書くのを止めたときもありました。
なにか、こう、くたびれちゃった、というかなんというか。
エネルギー切れを起こしていて。
今もそうなんですが、まだ書くことを捨てることはできませんでした。
こういう中で書いていて、一番不思議な感覚で書いた印象深い私の作品を最後にご紹介して終わりにしたいと思います。
※ムーンライトノベルズ。リンク先はR18 BL小説。閲覧注意。
いろいろ活かしきれていない設定、描き切れていない描写、最後まで確立しなかったキャラクター、など未熟な点がいっぱいあるのですが、これまで書いてきた経験とは全然違う感覚で書いていました。
暗闇の中、なんの明かりも手掛かりもなく、どっちへ行けばいいのかわからないまま書いているのは、知らない場所で地図もなく自分がどこに立っているのかまったくわからない、心細さと不安でいっぱいの不安定な感覚にとてもよく似ていました。
書くのがとても怖くて不安だった。
なのに書かずにはいられない、不思議な感覚でずっとずっといました。
また来年、2019年もなにか作品が発表していけますように。
ありがとうございました。
Kyrie