※ネタバレ注意
「桐谷」という星が墜ちました。
これは本編の第11話を書いているあたりで、見えていたことでした。
お話は傷だらけの美崎を桐谷と優也が引き取るシーンです。
落ち込む優也に桐谷が「腹ごしらえをしよう」とおむすびをむすんでやります。
このとき見えていたのは、桐谷の死後、困難なことがあった優也が倒れそうになるときに、桐谷のおむすびを思い出して、ぐっと踏ん張っている姿でした。
このときから桐谷の死を意識し始めました。
そして、ちょっぴり泣いていました。
私にとって創作は、娯楽であり、現実逃避をするためのものの一つです。
つらいリアルに疲れちゃったら、現実逃避をして甘々な世界にひたってうっとりとし、またやってくるリアルに戻っていくためのもの。
宿り木や癒しの場所、といったイメージがあります。
なので、私の書く世界はとても甘く「現実にはない」ものなのを重々承知の上で、それでも「ちょっぴり夢を見てもいいじゃない。リアルに戻るためのエナジーを蓄えるために甘い夢を見てもいいじゃない」と設定しています。
なので、いくら見えたとしても桐谷の死を書くつもりはなく、そっと自分の胸に秘めておこうと思っていました。
しかし、番外編を書いているうちにどんどんどんどん、見る場面が多くなりました。
遺影を抱える優也。
おむすびを作って優也に食べさせようとする龍治。
優也を支える佐伯。
そして、最後に優也の本名を呼ぶ桐谷。
「私は書く気はないんだよー!!」と逃げ回りましたが、創作の神様は私を逃すことをせず、やすやすと捕まえてしまいました。
直前まで書くのが嫌で、つらくてつらくて、お風呂の中で泣いたりしていました。
(お風呂の中でシーンが見えちゃったからさー)
そんな私がGW初日に、あまりないのに発熱。
身体がしんどくても熱で発散することが苦手なので、滅多に熱を出しません。
もっと熱が出れば休めるのにね。
ぼーっとしながら「キングとむすび」を淡々と書き始めました。
不思議と悲しくありませんでした。
相当感情移入しているのに、泣くこともせず、翌日には書き上げてしまいました。
書きながら思っていたのは、ある人のことでした。
以前、「僕のレークス」というお話のレネという登場人物が桐谷に似ている、と書いたのですが、そのレネのモデルになった人です。
その人と私が出会ったのは、もう10年以上も前のことです。
彼と私は随分歳が離れていて、彼が自分の死を見つめていることをひしひしと感じていました。
また、ほかの人の死にも敏感で、それによって不思議な体験をしていました。
あまり人に信じてもらえそうにないことなのですが、私はそれは本当だ、と思いました。
あとは4年前に亡くなった父のことでした。
私は泣きましたが、あとはカラッとしていました。
このドライな感じはなんだろう、娘としてよろしくないのかしら、と思いましたが、これが私の「死」への今の距離感なのだと思いました。
私はこのお話を「桐谷の死」ではなく、「優也の生」としてとらえています。
桐谷が言っていました。
「一人に決めるのもいいものだよ、美崎。それを一生続けるのではなくても、人生の中のどこかの時間、たった一人と愛し愛された経験を持つのは、いいものだ。浮草みたいな虚しさを感じる人生に、一瞬だけでもゆるがないなにかが生まれるのはたった一人と過ごした時間だけだったからね」
これは美崎に言った言葉で、私はこれを美崎に言いたくて、その一心でブラック・バニーズを書きました。
(それがまさかこんなに長く書くことになるとはゆめゆめ思いませんでした)
優也は桐谷を失い、これから先、彼がいないことで寂しくなったり、泣いたり、つらい思いをしたりするでしょうが、それを越えて豊かな人生を送ってほしいと願います。
ある意味、桐谷から解放された瞬間かもしれません。
一方で、桐谷の永遠の束縛をうけた瞬間かもしれません。
「キングとむすび(1)」を投稿したあと、BBファンの方々の反応はすさまじいものでした。
中には体調を崩される方もいらして、私が動揺してしまいました。
なにがどう皆さんの心をとらえたのかわかりませんが、桐谷は人気のある、親愛なるくちょじじぃだということがよくわかりました。
(1)を上げたときには、すべてを書き終わっていたので一気に上げることもできたのですが、いろいろ相談したり、私も考えたりして、このような投稿の仕方としました。
ちょうど私が発熱する前に出かけたお散歩中にスズランの花を見つけたので、写真に撮りました。
今回、このブログを書くにあたりどの写真を使おうかな、と考えて、清楚なスズランにすることに決めました。
偶然ですが、今日、5月1日はスズランの日なんですね。
フランスの習慣で、愛する人、お世話になっている人にスズランを贈るそうです。
なんてぴったり!
私を離さず振り回すだけ振り回して好き放題する愛すべき桐谷と、BBに登場するすべてのキャラクター、そして一緒になって喜怒哀楽を共にしてくださった読者の方々に、感謝を込めてスズランを贈ります。
最後になりましたが、「桐谷の葬儀に参列したかった」という方もいらっしゃるようでして。
この記事のコメント欄に「桐谷への言葉」を書いていただければ、Twitterのように流れもせず、ずっと残ります。
よかったら書いてくださいね。
「桐谷のかばーーーーー!!!」でも構いません。
私が書きたいです。
ここにきて、こんなことを言うのもなんなんですが、創作は時間軸を自由に行き来できます。
桐谷が生きているときのお話だって、これから先、その気になればいくらでも書ける、と思っています。
だから、現実の死のようにそんなに悲観しなくてもいいし、みんなで時をかけちゃえばいいと思います。
あとは、桐谷チルドレンとして生きていけばいいや、と思います。
桐谷の説教って、結構、「生き方」を示していることが多いなぁ、と思いました。
一時期、本気で「桐谷名言botとかないかしら」と思ったくらい。
こういうところが、迷える子うさぎちゃんたちの心を奪っていったのかもしれません。
■参考
ブラック・バニーズ (ムーンライトノベルズ R18BL 閲覧注意)
お話が見えるKyrie
水晶玉を見つめる占い師のように / キリエのお話の書き方
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よろしくお願いします。
Kyrie