桜の世界を壊さぬように / 「白妙薄紅」あとがき


※ネタバレあり。閲覧注意。



闇の中で手応えなし

「白妙薄紅」を書き終わりました。

このお話は以前「陰間の恋」として発表したものがベースとなっています。
軽い気持ちで書き始めたのですが、ちょっと書いただけで思ったより奥が深そうで「書けない」と三話くらいで放置。
完結できそうになかったので、のちに削除してしまいました。
原稿は残っています。

今年(2018年)の年明け、特にきっかけはないのですが、ふと「陰間の恋」のお話が見え始めました。
少しはどんな世界なのか見えていたし、結末もわかっていました。
しかし突然、細部が見え、それはどんどん見えてきました。

※急に「お話が見えてきた」と言い出して戸惑われる人もいらっしゃると思います。
よければこちらを先に参考としてお読みください。

■参考



登場人物の名前を改めて決め、書き始めました。
時代も場所も、一応、不特定のものにしました。
ぼんやりとファンタジーとして、ゆるく自分が楽しみたかったからです。
すでに「陰間の恋」の中で、怪しい狐が花街の夕暮れに火を灯す様子もあり、ちょっと不思議な雰囲気にしたかったのです。

それが、大変でした。
なんとなく完成した世界はわかっている。
しかし、実際に自分はよくはわからない。
まるで、二次創作をしている気分でした。

すでにできあがっている世界がある。
それを壊さないようにしたい。
でもよくわかっていない。

まるで暗闇の中を手探りで進んでいるような感覚でした。

また、わかりにくい世界だし、漢字いっぱいだし、とっつきにくいかな、という自信のなさもありました。

この頃はTwitterに「真っ暗で自分がなにをしているのかわからない。書いても手応えがない」というツイートをたくさんしていました。

書いても書いても、なにも掴めず、手の中はいつも空っぽのようでした。




またおまえかっ、くちょjji!!!

それが、癖のあるご隠居との戦いが終わった頃でしょうか。
いつもの、私のペースが戻ってきました。
久しぶりに「書いている!」という実感が持てました。
なんだったんだろう。と今でも思います。

それからあとは「いつもの私」で書いていきました。


ちなみにどこかで見たことのあるくちょjjiが登場しますが、それもそのはずで、もともと、黒兎のパラレル話として「陰間の恋」が書かれたからでした。
それをちらつかせるために、黒檀に硝子の目の入った黒兎の根付をご隠居につけさせようと企んでいましたが、私が根付についてよくわかっていなかったのと、そんなものを入れる余裕がなかったので、止めました。

後日、美術館で「根付展」を見て、「中途半端な知識で登場させなくてよかったぁ」とつくづく思いました。




和装に関する知識なし

私がこの世界を壊さないようにするために、慎重に慎重を重ね(こんな表現はなさそうですが)ていましたが、その中でも和装に関する知識がないことは、大きな不安材料でした。

着物や帯から始まり、小物や髪の飾りなど、全然知識がなく、また四季に合わせ変えていく「決まり事」も知らず、びくびくしながら書いていきました。

ただ、ビジュアル的に作品を創り上げなくてもいいので、「青い海。白波。桜吹雪柄の着物」、「稲妻柄の帯」と書いてしまえば、それで終わりました。

また、詳しい方から教えていただいたり、アドバイスを受けることもありました。
ここで改めてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。





おちょた失敗!

主人公は五歳から登場し、十歳で陰間になりました。
ここで私が狙ったのは、ほぼ初の「おしょた」です。
が、しかし。
十歳にしては大人びて、幼さが出ず、タグに「ショタ」を入れるのは憚られる結果になりました。
せっかくちっちゃくてかわいいのを出したのに~!
残念です。
相手がくちょjjiやおぢさまじゃったのがいけんかったんじゃろうか…?
若い人も出てきますが、白妙よりかは十以上も年上の設定でしたので、十分おぢさまだと思います。
「お兄様」とかだったらよかったんかのう。





桜の世界




白妙、笹部、御車返、雨宿、紅時雨、そして御衣黄。
これらの名前は桜の名前から取りました。
見ているだけでも、どこかほんのりエロティックで綺麗な漢字の名前です。
ちなみにこの黄緑の桜が御衣黄です。
綺麗、というより、珍しいですね。



いつも桜の花を意識し、桜の世界を壊さないように書いていました。

和風ファンタジー、と言っていいのかどうかわかりませんが、不思議な世界を楽しんでいただけたら、と思います。





最後になりましたが、読んでくださった方、アクションを起こしてくださった方、暗闇で泣きそうになっている私を励ましてくださった方、本当にありがとうございました。
お陰様で、最後まで書き上げることができました。



Kyrie





■参考

「白妙薄紅」 ムーンライトノベルズ(R18 BL 閲覧注意)



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