※ネタバレあり。閲覧注意。
この映画のことはなんとなく知っていた。
ほんと、なんとなく「こういうのがあるんだ」というくらい。
今回、機会があったので観た。
よかった。
観てよかった。
男子校に通う対照的な二人の高校生のお話。
映画の背景は水彩絵の具で描かれたような雰囲気で、二人の雰囲気もお話の雰囲気もそんなふうな、ちょっとぽやっとして輪郭が曖昧で、なのに宝石のように硬く存在感があり、ずっしりと重い。
過激なことをしているわけじゃない。
ハグして手をつないでちゅーして、「おしおき」で背中をちょっとさわるくらい。
もうぴゅあぴゅあで泣きそうで、おばかで愛おしい。
久しぶりに「きゅんきゅんするっ!泣きそうだ!!!」と見終わった後、私は支離滅裂なことしか言えなかった。
映画、となると「動き」と「音」と「声」が出てくる。
多分、原作を私が読んだだけなら、「その間合いでせりふを読まないだろうなぁ」というところがたくさんあって、「あー、かわいい。そんなふうに言っちゃうんだ。あー、くそかわいいっ。なんだコイツ!!!そんなふうに言われたら、もう、落ちるしかないじゃんっ!ね、佐条くん!!!」と草壁くんを見ながら思った。
時々入る、風が木の葉を揺らすシーンや炭酸飲料のしゅわしゅわするところとか、上を向いたら見える電線とか、そういうものが「ただ単にストーリーを追いかけるだけ」ではなく、ちょっとだけ自分のペースで作品に浸り、何かを感じる時間に充てられるので、じんわりと自分の感情も作品についていけた。
好きなところは、ずっと受け身だった佐条くんが最後に見せる「男っぽさ」。
私が好きなBLは、カップルの両方が見せる「その人物が持っている男っぽさ」なので、ここにきゅんきゅんした。
なんていうか、「それ、女の子じゃだめなの?」という作品もあるので、あえてそれでもBLで行くのなら「男の子」あるいは「男の人」が垣間見られる作品が私の好み。
そして無謀なんだけど、「こんな作品が書けたらいいなぁ」と思った。
自分が書く作品の多くが過激なことは少なく「淡々と」したものが多い。
「同級生」も淡々としているんだけど、そこにもんどりを打つような切なさとか幸せな気分とか思春期のはちゃめちゃなところとか、いろいろ詰まっていて「はああああああっ、素敵……」しか言えなくなる。
私の作品に足りない「奥行」や「深さ」なんだろうなぁ、と思う。
すっごくよかったよ。
そして切なくて動けなくなった。
だってただのハッピーエンドじゃなかったんだもん。
これからどうなるんだろう、あの二人。
がんばって幸せになってほしいなぁ。
■参考
アニメ「同級生」オフィシャルサイト